今回は薄茶用の抹茶を入れるためのお道具「薄茶器」がテーマ*
下の写真に並んでいるものは薄茶器のなかでも最も代表的な形である棗(なつめ)です。
植物のナツメの実に形が似ていることから名づけられました。
サイズは利休形の大・中・小を基本に、平棗/尻張棗や丸棗など種類が豊富にあります。
美しい漆塗や日本の伝統技術である蒔絵がほどこされた薄茶器は、時代とともにさまざまな素材や絵付により、新たなものが作り出されました。
茶道具の中では小さなお道具でありますが、特有の漆の艶があり煌めく蒔絵に目をひきつけられるステキな薄茶器の世界をご紹介したいと思います。
~棗の種類/いろいろな形~
ここでは代表的なものを5つピックアップいたします!
【利休形 中棗/黒塗】
棗の基本となる形。写真は基本の黒塗のものです。
黒をはじめ赤や白の漆が使用され、意匠をこらした蒔絵のものが多くあり、お点前やお茶席のテーマに合わせて用いられます。
【雪吹(ふぶき)】
雪吹とは円筒形の器の上下に面がとってある形の薄茶器のこと。
利休形は黒塗です。その他にも漆絵が施されたものも多くあります。写真は根来塗のもの。
*根来とは・・
檜木地に黒漆が数回塗り重ねられた上に、朱漆が塗られており、下地の黒漆が表面に現れた景色が特長です。
斑模様など素朴でありながら、重厚な漆塗りの薄茶器です。
【金輪寺/溜塗 秋草蒔絵】
金輪寺とは薄茶器の一種で、円筒形の器に蓋をのせる特異な構造をしています。
棗とはまた異なる趣があります*江戸時代初めまでは濃茶用の茶器として使用されていましたが、中期以後には薄茶器として用いられるようになりました。
【甲赤茶器】
千家五代:常叟(不休斎)好み。
蓋は内外どちらも赤朱塗であり、「甲」(蓋の表面)は平らになっています。
抹茶を入れる器部分は黒塗であり、浅いつくりになっているため、甲赤茶器の扱いは少し上級編*
【老松割蓋(おいまつわりぶた)】
写真のとおり、木地溜塗の老松茶器に蝶番付の割蓋をつけたもの。
茶碗へ抹茶を入れる際は右側の蓋のみを開き、縦にお茶をすくいます。
いろいろな薄茶器を楽しみながら、清め方や扱い方を学んでいきましょう♪
~四季のたのしみ方~
さてここからは、季節に合わせて用いられる薄茶器をいくつかみていきましょう*
【桜川棗】
淡々斎好みの平棗。摺漆の上に銀蒔絵で網が描かれています。
こまやかで繊細な蒔絵に目がひきこまれそうな美しさ。
蓋をあけると・・桜の花びらが描かれており春の季節感を楽しめます。
こちらは夏の風物詩である鵜飼の意匠を施した蒔絵の金輪寺。
籠の器を添えて、涼しげな演出となります。
使用できる季節が限られた際物を愉しむ心も茶道ならではです。
秋草蒔絵の茶器はまさに秋のシーズンにぴったり。
桔梗の花びらは、貝殻をあしらえられた螺鈿になっています。
繊細な漆芸技法と華やかに彩られた秋草の文様がお客様の目を楽しませてくれます。
【曙棗】
こちらは玄々斎好みの朱塗香次形棗。全体が朱塗で甲(蓋)の上に黒絵で鶴一羽が描かれています。
胴部分には松と亀の絵付があり、お正月の初釜など、おめでたいお茶席よく用いられる茶器として代表的なものです。
美しい白漆の棗に、冬の茶花として代表格 ’椿’ がみごとに描かれています。
紅白のコントラストが華やかで目をひきます。
最後にご紹介するのは・・竹で作られた棗。
【四季七宝蒔絵竹大棗】
鵬雲斎好みの大棗であり、美しい漆黒に四季七宝の蒔絵がほどこされています。
特徴的なところは竹の節が生かされた甲(蓋表面)の部分。
素材が竹であるため、大棗ですが軽やかな印象があります。
参考文献:淡交社(1993)『実用茶道用語辞典』
今回は「薄茶器」をテーマに茶道具での四季の楽しみ方をご紹介いたしました。
形により帛紗での清め方や扱いには1つ1つ決まりごとがあります。
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