茶室といえばみなさんは何を思い浮かべますか・・
まず目に入るのはやはり床の間ではないでしょうか
茶道ではお客様が茶室へ入り、いちばん初めに拝見するものが床の間のお軸「掛物」です。
今回は「掛物」について、どのような種類があるのか
そして季節を感じる画や禅語から読みとられる教えにふれながら、写真とともにご紹介いたします*
そもそも、掛物とは茶道においてどのような意味を持つのでしょう・・?
わび茶を大成した千利休の茶道精神を伝える『南方録』の中の一節につぎの言葉が残されています
“掛物ほど第一の道具ハなし“
床の間に飾る掛物は最も大切なお道具であり、 亭主はまず軸を決め、それに準じ他のお道具を決めていきます
掛物は茶席のテーマまたは亭主からお客様への思いを表すものだからです
◆どのような種類があるの・・?
「掛物」は軸・軸物・幅などとも呼ばれ、茶席では主に禅語や茶道にちなんだ語句の掛字(書)
または季節の風物詩や人物などが描かれた掛絵(画)を用いります
種類は以下のように大きく分類されます
掛字(書)
墨蹟/懐紙・詠草/色紙・短冊/古筆切/消息(手紙)
掛絵(画)
絵画/画賛
参考文献:監修 千宗室(1991)『茶道具の心得と扱い』淡交社.
今回は上記種類のなかでも茶道レッスンや茶会などでよく用いられる親しみやすいものを挙げていきます!
1. 一行物
墨蹟(ぼくせき)のなかで「一行物」といわれる軸です
名の通り、一行で禅語や茶道にちなんだ語句が書かれたもの
2. 横物
墨蹟の1つであり、横に書かれたもの
‘福寿’のようにおめでたい語句の軸は、お正月や祝いの席に好んで用いられます
たとえ同じ茶室であっても、テーマを表す掛物1つを変えることで毎回新鮮な異なる空間へと変わります
3. 色紙
絵や書・短歌がかかれている方形の掛物のこと
ワノコトのレッスンでは12ヵ月の色紙や短冊をご用意しております♪
4. 画賛
季節の風物詩などの絵とともに書が添えられているもの
画賛のなかで絵と書の筆者が同一人物のものは自画賛といいます
この画賛は栗の図に「清風」と書が添えられており、秋の風情を感じます
◆どのように選ぶの・・?
掛物はその作者つまり誰が書いたものであるかということが最も大切とされます
茶事や茶会に合わせ、亭主はそのお席に合うものを選びますが、やはり季節感も大切です
ここでは、四季に合わせた軸の楽しみ方をご紹介いたします
~春~【百花為誰開】(ひゃっかたがためにかひらく)
”春になって色とりどりの花が無数に咲くのは一体誰のためなのか。
(朝山一玄著『茶席の禅語句集』より引用)
ただ無心に自らの本来のあり方を守って
忠実にそして淡々と務めを果たす自然の万物の尊さ”
桜をはじめ、花咲く春の情景が茶室にいても思い出されます
くりかえされる自然の営みのなかで、時期がくると咲く花を表した言葉から
考え込むことなく忠実にやるべきことをやることが、いつか誰かの為になっている
そんな日常の中で見過ごしていることや大切なことを再発見できることも・・
禅語の意味を解釈していく楽しさは茶道の魅力の1つですね
~夏~【竹/ 葉々起清風】(ようようせいふうをおこす)
6月~初夏のころ茶室に掛けられれば、風にゆれる笹や涼しげな竹林の情景が思い浮かべられます
~秋~【開門落葉多】(かいもんらくようおおし)
この禅語は「聴雨寒更尽」という詩と対になっているものです
”雨の音を聴きつつ、寒さに震えながら山中の草庵で一夜を過ごしたが、
(朝山一玄著『茶席の禅語句集』より引用)
夜が明けて門を開いてみると
見渡す限り落葉に覆われていた“
紅葉がおわる晩秋のころ、落葉が広がる秋の情景が頭に浮かびますね
~冬~【紅炉一点雪】(こうろいってんのゆき)
”真っ赤に燃え盛るいろりの上に舞い落ちる一片の雪
(朝山一玄著『茶席の禅語句集』より引用)
それは熱のために一瞬にして消えてしまうことから、
次々に湧き起こってくる雑念を瞬時に消し去って、心中に微塵もその跡を残さない
禅修行者の高い境地に喩える”
茶花や和菓子と同様に、掛物も四季それぞれに楽しむことができます
ワノコトの茶道レッスンでは月毎に替わる色紙やお軸の意味を1つ1つ学習していきます
馴染みのない禅語は奥深いけれど、いまいち理解するのは難しそうという方も
回を重ねレッスンに通うなかで、きっと心に叶う四季の情景や禅の教えを表す軸に巡り合いより身近なものになるのではないでしょうか
所作を学ぶことのほかにも 茶道レッスンでは掛物の言葉から学びを得ることが多くあります
そして毎回新鮮な気持ちで過ごす茶室でのひとときは心落ち着く時間になります
なにか新しいことを始めたい!という方
茶道にご興味がある!という方へ
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